ミノキシジルには厚生労働省の認可を得た外用薬と、非承認の内服薬の2種類があります。 単純に比較すれば、内服薬の方が体内に直接摂取する分、発毛効果が高く症状の改善も早い傾向にあるとされています。しかし、そもそも内服薬は日本では非承認の薬であるため、安易な服用は控えるべきでしょう。
今回HAR-Lab.編集部では、ミノキシジルの有用性を内服薬まで掘り下げて解説します。あくまでも非認可の薬であることを念頭において、外用薬の発毛効果を知り得るうえでの参考にしてくださいね。
ミノキシジルには内服薬もあるの? 内服薬の効果や副作用とは
外用薬の他に、内服薬も存在するミノキシジル。同じ成分の薬ですが、効果も副作用もそれぞれで異なります。ここではミノキシジル内服薬について詳しく解説します。
注意|タブレットなどの内服薬は認可を受けていない
ミノキシジルは国内において、タブレットなどの内服薬は治療薬としての認可を受けていません。 このことは皮膚医科学会のガイドラインでも、「内服を行うべきではない」として明記されています。
ネットの普及により、世界中から簡単に物を買い付けることができるようになりましたが、個人輸入をして安易に服用することは控えましょう。
AGA治療の内服薬として認可を受けているものは、プロペシア®とザガーロ® です。 症状の改善を急ぐ場合は、これらの内服薬とミノキシジル外用薬を併用すると発毛効果が期待できます。
ミノキシジル内服薬の効果とは?
ミノキシジル内服薬は先に述べたように未承認の薬であり、安易に服用していいものではありません。そのことを踏まえたうえで、ミノキシジル内服薬の発毛に対する有用性を客観的に解説します。
内服薬は直接体内に吸収されることから浸透率が高くなり、外用薬よりも高い発毛効果が期待できます。 早い人では、使用を開始した2~3ヶ月後くらいから発毛を実感する人も。リアップなどの外用薬が、6ヶ月以上の使用で効果を実感できるのと比較すると、効き目が早いのが特徴です。
AGA(男性型脱毛症)治療薬として発毛効果を認められている
ミノキシジルの発毛効果は、リアップX5プラスの臨床試験よって実証されています。試験結果では、24週間後(約6ヵ月後)からは「軽度改善」「中等度改善」「著明改善」をあわせて、実に9割以上の方に発毛効果がみられました。
24週間後からは、軽度改善より中等度改善の割合が高くなっており、継続するほどより高い効果を得られることが確認されています。
ミノキシジル内服薬の副作用とは?
ミノキシジル内服薬は、危険性が充分に検証されていないことから、使用しないようにとの注意が促されています。具体的な副作用は以下の通りです。
<ミノキシジル内服薬の副作用>
- 頭痛、めまい、動悸、息切れ
- 多毛症
- 血圧低下
ミノキシジルの血管拡張作用により血圧が低下すると、心臓が過剰に血液を供給しようとするため、動悸やめまいなどの症状が現れることがあります。 特に服用しはじめの頃に、半数程度の方が軽度の副作用として感じるとされています。
そして、最も副作用として多いのが多毛症。全身の体毛が濃くなる症状で、女性の場合は、男性よりも内服前後で顕著に症状が現れるので、注意が必要です。
また、低血圧の方が服用すると、さらに血圧を下げてしまうため危険とされています。各臓器の機能を低下させる可能性があることからも、長い期間にわたって服用することは避けましょう。
この他にも、高カリウム血症や多臓器不全など、より重度の副作用のリスクもあるとされています。厚生労働省の認可を得ていないミノキシジル内服薬を服用するということは、万が一これらの副作用が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済の救済対象にはなりません。
何か問題が起こっても、全て全額自己負担となることを覚えておきましょう。
外用薬の使用でも薄毛治療に効果はある?
ミノキシジルは外用薬でも発毛効果を認められています。このことは、リアップX5プラスの発毛効果で述べた通りです。ここでは、塗り薬としての発毛効果や、副作用について解説します。
ミノキシジルの成分は外用薬(頭皮に塗るタイプ)でも効果アリ
ミノキシジル外用薬の発毛効果は、リアップX5プラスの臨床試験の他にも、「日本皮膚科学会ガイドライン」の6ヶ月に及ぶ比較試験で実証されています。男性型脱毛症では26.4本、女性は8.15本の増加を確認。この実験結果から、ミノキシジルは最高レベル「推奨ランクA」の判定を受けています。
ミノキシジルには、実験結果でも立証されているように、毛包に直接作用して毛髪を太い毛に成長させる働きがあります。
これをディープグロース効果といいますが、プロペシアなどの他の薄毛治療薬の中でも、ミノキシジルに特出した作用です。また、女性の薄毛治療にも使用されています。
ただし、全員に同じ発毛効果が現れるわけではないということも覚えておきましょう。
大正製薬|リアップX5プラスローション
「強く、太く」がモットーの、大正製薬「リアップ X5プラスローション」。薄毛治療の発毛剤として、真っ先に思い浮かべる方も多いはず。濃度5%で、高い発毛効果が実証されているうえに、お近くの薬剤師がいる薬局やドラッグストアで手軽に購入できる点も魅力です。市販品の一例をまとめました。
<リアップ商品例>
濃度5%:リアップ X5プラス
濃度1%:リアップ
濃度1%:リアップジェンヌ(女性用)
容量は、どれも60mLのタイプで約1ヶ月が目安です。発毛効果を得るには、最低でも6ヶ月の継続使用が勧められています。ローションの他にも、スカルプシャンプーなどもラインナップされているので、併用するといいでしょう。
店頭での購入をためらう場合は、通信販売でも購入できます。
ミノキシジル外用薬の副作用とは?
治療薬として効果的に作用するミノキシジルは、他の薬と同じく、副作用があります。
<ミノキシジル配合薬の副作用>
- 頭痛
- 動悸・だるさ
- 頭皮の発疹
ミノキシジルは頭皮の血行を良くする効果がありますが、血管を広げることによる副作用として、発疹、頭痛、だるさや動悸などが挙げられます。
外用薬として使用する場合は、直接的に影響するケースは少ないでしょう。しかし、もとは血圧の薬であったため、高血圧・低血圧の方は慎重に使用する必要があります。
皮膚に関する副作用として、頭皮に発疹やかゆみ、フケが出ることがあります。掻きむしると症状が悪化してしまうので気をつけましょう。
また、副作用と間違われやすい症状に、初期脱毛というものがあります。これは、乱れていたヘアサイクルが正常に戻りつつある証拠で、順調に薬が効いているサイン。
眠っていた毛根が活動し始め、休止期の毛髪と生え変わろうとして起こる脱毛です。薬の効き目が出始めた初期の頃に、一気に抜け変わろうとするので驚くかもしれませんが、一過性のものなので安心して大丈夫です。
ミノキシジルには内服薬もある! 使用は慎重に検討しよう
ミノキシジルには外用薬の他にも、国内非承認の内服薬があります。一般的には内服薬の方が発毛効果が高いとされていますが、副作用のリスクも高くなるので、安易に服用することは控えましょう。
内服薬を取り扱う専門のクリニックもありますが、体質や体調には個人差があるため、慎重に検討する必要があります。
外用薬の有用性にも注目して、自分に合った治療を始めてくださいね。
参考サイト:
国内未承認のいわゆる発毛薬の服用が原因と考えられる健康被害の発生について( 公益社団法人日本皮膚科学会)